俳優の藤竜也（７４）が、主演映画「東のオオカミ（仮題）」で、国際的に活躍する河瀬直美監督（４６）と初タッグを組むことになった。キューバ出身の新進気鋭のカルロス・Ｍ・キンテラ監督（３１）がメガホンを執り、河瀬氏はプロデューサーを務める。
        「東の―」はキューバ革命から１０年に製作された「キューバの恋人」（１９６９年、黒木和雄監督）の“その後”をイメージさせる作品。「キューバ―」では、日本人漁師とキューバの女性兵士との恋模様が描かれたが、「東の―」では奈良に舞台を移し、昔の記憶を抱えながら、幻のオオカミを追い求めて生きる７０代の猟師（藤）を描く。河瀬氏は「藤さん以外考えられなかった。まったく心配していません」と全幅の信頼を寄せる。
        徹底した性描写で世界中に衝撃を与えた日仏合作の映画「愛のコリーダ」（大島渚監督）に主演した藤も、カンヌ国際映画祭で何度も受賞歴がある河瀬氏を「バイタリティーある方」と認めている。撮影は４月に奈良・東吉野村で行われるが、地元の猟師とも交流し、役作りの参考にしたという。
        河瀬氏は「日本映画を代表するベテランとキューバの若手監督という奇跡的な出会いを、作品に反映させたい。カンヌ映画祭のディレクターも気に掛けてくれている」と同作の海外展開も視野に入れている。今年のカンヌでは短編コンペティション部門の審査員長を務めるが、来年は今作をひっさげ、カンヌに臨む可能性もありそうだ。